身体の「重だるさ」「イライラ」「頭が重い感じ」「疲れやすさ」が続いているにもかかわらず、病院で検査を受けても「異常なし」と言われることがある。
医学では、このような状態を「不定愁訴(ふていしゅうそ)」あるいは「MUS(Medically Unexplained Symptoms:医学的に説明することが難しい身体症状)」と呼ぶことがあります。
こうした不調は、決して「気のせい」というわけではありません。自律神経やホメオスタシス(恒常性)、身体のバランスなどが関係し、実際にさまざまな身体反応として現れることがあります。
本記事では、国家資格を持つ柔道整復師の視点から、不定愁訴についての医学的な考え方や、身体の仕組み、栄養面からの考え方、そして草流接骨院で行っているコンディショニングについて、できるだけわかりやすく解説いたします。
「異常がない」=「問題がない」とは限りません:血液検査や画像診断で異常が見つからない場合、骨折や腫瘍などの大きな構造的な問題がないことを意味します。一方で、自律神経の緊張や筋肉・筋膜の動きにくさなど、身体の「働き」に関する問題まで否定されるわけではありません。
身体・心・生活環境をまとめて考えることが大切:不定愁訴は一つの原因だけで起こるとは限らず、身体の状態、ストレス、生活習慣、姿勢、栄養バランスなど、さまざまな要素が重なって生じることがあります。
「構造と機能」のバランスを整えることも大切です:デスクワークによる猫背やあごが前に出る姿勢は、首や後頭部の筋肉に負担をかけ、自律神経の不調につながることがあります。手技療法や運動療法によって身体のバランスを整えることが、不調を和らげるための土台となります。
不定愁訴は、「いつ・どこが・どのように」と一つに決めることが難しく、時期や環境によって症状が変わったり、複数の不調が同時に現れたりすることがあります。
精神・神経系の不調:頭が重い(頭重感)、イライラする、不安感、気分の落ち込み、集中力の低下、頭がぼんやりする感じ(ブレインフォグ)。
自律神経・感覚器の不調:立ちくらみ、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、ほてり、手足の冷え、汗をかきやすい。
運動器・体幹の不調:慢性的な首肩こり、背中の張り、腰痛、手足の痛み・しびれ、全身の倦怠感・重だるさ。
消化器・睡眠の不調:食欲不振、胃のもたれ、腹部の不快感、便秘・下痢の繰り返し、寝つきの悪さ、途中で目が覚める(中途覚醒)。
自律神経(交感神経・副交感神経)のコントロールの乱れ:ストレスや不規則な生活などによって、身体の状態を一定に保つ働きが乱れることがあります。
気候・気圧の変化(気象病・天気痛):耳の中にある前庭器官(気圧の変化を感じる器官)が刺激を受け、自律神経の乱れにつながることがあります。
不良姿勢による身体への負担:猫背やストレートネックなどによって、首や胸郭周囲の筋膜(Fascia)の状態が変化し、神経や血管などに負担がかかることがあります。
ホルモンバランスの急激な変化:更年期におけるエストロゲン分泌の低下や、ホルモンを調整する仕組みの変化などが関係します。
食生活と微量栄養素の偏り:魚介類(EPA・DHA・ビタミンD・ビタミンB12など)の摂取不足や、ミネラル不足などが関係する可能性があります。
なぜ、検査でははっきりとした原因が見つからない不調が、全身に広がることがあるのでしょうか。
その背景には、人間の身体を一定の状態に保つ仕組みや、身体の構造が深く関わっています。
人間には、外気温や環境が変化しても、体温・血圧・心拍・心身の状態などを一定の範囲に保とうとする「ホメオスタシス(恒常性)」という仕組みがあります。
この調整に大きく関わっているのが、脳の視床下部(ししょうかぶ)です。
視床下部は、自律神経系(交感神経と副交感神経)や内分泌系(ホルモン)を通じて、全身の状態を調整しています。
しかし、身体的・精神的なストレスや過労が重なると、この調整がうまくいかなくなることがあります。
その結果、血流の偏りや筋肉の緊張が続きやすくなり、倦怠感や眠りにくさなど、さまざまな症状として現れることがあります。
近年の医学では、MUSや身体症状症を「生物・心理・社会モデル」という考え方から捉えることがあります。
身体的な側面:中枢・末梢神経系の感作(センシティゼーション)や知覚過敏(Somatosensory Amplification:感覚増幅)。身体から送られる小さな信号を、脳が強い「危険信号」として感じてしまうことがあります。
心理的な側面:症状への注意が強くなること、破局的思考(「この不調は悪化するに違いない」という強い不安)、症状を避けることで運動量が減ることなど。
社会的な側面:職場や家庭での人間関係、生活リズムの乱れ、生活環境の急な変化など。
これらの要素が重なることで、お互いに影響し合う悪循環が生まれ、症状が長引きやすくなることがあります。
5月〜6月の梅雨時期や台風の季節などに、不定愁訴が悪化しやすい方がいます。いわゆる「気象病・天気痛」と呼ばれるものです。
こうした不調には、耳の奥にある前庭器官(内耳の気圧センサー)が関係していると考えられています。
気圧が低下すると、前庭器官がその変化を感じ取り、脳幹の「上前庭神経核」を通じて自律神経系に刺激を送ります。
その結果、交感神経の働きが強くなり、血管の収縮や痛みの感じやすさの変化などが起こり、頭痛、めまい、以前ケガをした場所の痛みなどにつながることがあります。
臨床現場で非常に多く見られるのが、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による身体への負担です。
あごが前に出た姿勢(頭頸部前方位姿勢:FHP)や猫背(胸椎後弯)を続けると、後頭部の筋肉や肩甲挙筋、胸鎖乳突筋などに負担がかかり続けます。
首から背中にかけての筋膜(Fascia)の状態が変化し、動きが悪くなると、その周辺を通る神経などにも負担がかかり、頭が重く感じたり、目の疲れ、胸郭が広がりにくく「呼吸が浅い」と感じたりすることがあります。
呼吸が浅くなると副交感神経が働きにくくなり、自律神経のバランスにさらに影響することがあります。
また、交感神経幹は胸椎から腰椎(T1〜L2)の横に沿って走っているため、胸郭や背骨(脊椎)の動きが低下すると、交感神経の緊張が続きやすくなることがあります。
更年期(40代〜50代)の女性に見られる不定愁訴では、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下が大きな要因の一つとなります。
卵巣の働きが低下してエストロゲンの量が減ると、脳(視床下部・下垂体)は「もっとホルモンを出そう」と強く指令を出し続けます。
この変化が自律神経の中枢にも影響し、血管運動に関する症状(のぼせ、発汗)だけでなく、「疲れやすい」「肩こり、腰痛、手足の痛みがある」といった運動器・全身の症状につながることがあります。
簡略更年期指数(SMI)の調査では、更年期の不調を抱える女性の95%以上が、これらの運動器・全身症状を自覚していることがわかっています。
近年の疫学・栄養学研究(Suzuki et al., Nutrients, 2025)では、日本の若い女性を対象とした調査において、不定愁訴の重症度や抑うつ症状の強さが、魚介類の摂取量と明確な逆相関関係(摂取が少ないほど症状が強い)にあることが示されました。
n-3系多価不飽和脂肪酸(EPA・DHA):脳神経の膜の状態を保ち、神経の炎症を抑える働きに関わります。
ビタミンD・ビタミンB12:末梢神経の修復や、免疫・自律神経の機能を保つことに関わります。
微量ミネラル(亜鉛・セレン・マグネシウム):細胞のエネルギー(ATP)代謝や、抗酸化に関わる酵素の働きを支えます。
食生活の偏りやファストフード中心の食事などによって、これらの栄養素が不足すると、神経細胞の代謝が低下し、不定愁訴が起こったり、長引いたりしやすくなる可能性があることがわかってきています。
当院(草流接骨院)では、単なる一時的なマッサージやその場しのぎの慰安ではなく、10,000人以上の施術経験から生まれた「草流メソッド」に基づき、お一人おひとりの不調に向き合います。
構造(骨格・筋肉・筋膜)のバランス調整:猫背や骨盤の傾き、首のバランスなどを本来の位置に無理なく近づけ、神経・血管などへの負担を和らげます。
深い部分の筋肉へのアプローチ(電気治療):手技だけでは届きにくい深い部分の緊張に対し、ハイボルトやMCR(微弱電流)を活用します。ビリビリ感の少ない心地よい刺激で、深い部分の緊張や「ずっと抜けない重だるさ」を優しく和らげます。
呼吸と胸郭のリセット(ストレッチポール姿勢矯正):日常の緊張で固くなった胸郭や背中をストレッチポールでゆるめ、深い呼吸がしやすい身体の状態を作ります。
足元からの運動連鎖の調整:身体の土台となる足部の崩れ(外反母趾やアーチ低下)に対して、専門的なテーピングや動作指導を行い、全身のバランスを支えます。
不定愁訴の改善には、院でのコンディショニングとあわせて、ご自宅でのセルフケアや生活習慣を整えていくことも大切です。
呼吸法(4-7-8呼吸法など):4秒かけて鼻から息を吸い、7秒息を止め、8秒かけて口からゆっくり吐き出します。横隔膜を動かすことで副交感神経が優位になり、筋肉の血流低下を防ぎます。
耳周りの血流マッサージ:気圧の変化に敏感な方は、両耳を優しく引っ張ったり、上下・横に回したりして、内耳周辺の血行を促します。
入浴習慣(38〜40℃のぬるめのお湯):シャワーだけで済ませず、10〜15分ほど湯船に浸かることで、全身の毛細血管が広がり、副交感神経へのスムーズな切り替えを助けます。
規則正しい睡眠と朝の光:起床時間をできるだけ一定にし、朝起きたら太陽の光を浴びることで、脳の体内時計(視床下部)をリセットし、夜間のメラトニン分泌を促します。
魚介類・たんぱく質の積極的な摂取:サバやイワシなどの青魚、アサリやカキなどの貝類、良質なアミノ酸を食事に取り入れ、神経やホルモンの伝達物質の合成をサポートします。
患者様から受付やお電話でよく寄せられる「生の声」にお答えします。
A1. はい、もちろんです。 医療機関の検査(血液検査やレントゲンなど)で重大な病気(器質的疾患)がないと確認されていることは、安心して保存的なアプローチを進める上で大切な前提となります。
「病名がつかないけれど辛い」という状態に対して、当院では筋肉の硬さ、姿勢の崩れ、自律神経の緊張など、身体の機能的な側面から改善をサポートいたします。
A2. 当院ではバキバキと音を鳴らすような無理な矯正や、痛みを我慢していただくような強い施術は一切行いません。 お身体の状態に合わせて、筋膜リリースや柔らかい関節調整、ストレッチポールを使った姿勢矯正、MCR(微弱電流)やメドマー(空気圧マッサージ)などを組み合わせ、安心・安全で快適に受けていただける施術を提供します。
A3. お一人おひとりの不調の強さや生活環境によって異なりますが、開始初期は週1〜2回程度から始められるケースが多いです。 長年の生活習慣や姿勢の癖が関係していることも多いため、まずは1〜2ヶ月ほどかけて段階的に身体の構造と機能を整え、状態が安定してきたら2週間に1回、月1回のメンテナンスへと間隔を空けていくプランをご提案しています。
A4. 国家資格(柔道整復師)を持つスタッフが、解剖学・生理学の知識に基づいた適切なアセスメント(評価)とトリアージ(適応の判断)を行う点が大きな違いです。 単なる一時的な癒やし(リラクゼーション)ではなく、身体の構造と機能のバランスを整え、ご自宅でのセルフケア指導も含めて、日常を快適に過ごせる身体作りを目的としています。
草流接骨院では、患者様の安全性と回復を考え、法令を遵守し、専門医(医療機関)との明確な役割分担(メディカル連携)を行っております。
機能的アセスメント:姿勢分析や徒手検査を用いて、筋肉・関節のバランスや身体の使い方の癖を確認します。
保存的アプローチ:柔道整復師による筋膜リリース、関節のバランス調整、電気治療(MCR・ハイボルト)。
生活・運動指導:自律神経を整える呼吸法、ストレッチ指導、日常の姿勢・動作・栄養についてのアドバイス。
以下のような「接骨院では対応できない医療行為」が必要と判断される場合は、速やかに専門医への受診をおすすめし、必要に応じて連携いたします。
確定診断と画像・血液検査:CT、MRI、血液検査などを用いて、器質的疾患(腫瘍、感染症、自己免疫疾患、甲状腺疾患など)の除外・診断を行います。
薬物療法・処方:抗不安薬、抗うつ薬、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬などの医師による処方。
専門的心理療法・外科的治療:専門医による精神療法や侵襲的処置。
当院では「接骨院でできること」の限界をしっかりと見極め、無理に抱え込むことはいたしません。適切なトリアージ(鑑別)を行い、必要であれば医療機関と連携しながら、皆様が安心して健やかな日常を取り戻せるよう全力を尽くします。
「なんとなく身体が重い」「病院では問題ないと言われたけれど辛い」とお悩みの方は、お気軽に草流接骨院へご相談ください。
院名:草流接骨院
所在地:東京都練馬区中村北4丁目3-9 1階(西武池袋線・中村橋駅より徒歩1分)
受付時間:10:00〜21:00(土日祝も営業/火曜日定休)
特徴:国家資格保持者対応 / 個室完備 / 予約優先制 / 当日予約OK
お仕事帰りや休日にも通いやすい環境を整えております。下記より簡単にご予約いただけます。
【簡単1分】公式LINEからご予約・ご相談はこちら(24時間受付)
日本医事新報社「特集:3つの技術でアプローチ!不定愁訴入門」(西山順滋, 2020/2026)
厚生労働省/HealthDay News「若い女性の不定愁訴、魚介類の摂取不足が原因か」(Suzuki T et al., Nutrients. 2025)
日本柔道整復接骨医学会「大会プログラム・一般演題(自律神経と胸郭、心身の健康と呼吸)」
武田薬報 473号「更年期に伴う不定愁訴——運動神経系症状」(小山嵩夫, 2013)
ひだまりこころクリニック名駅エスカ院「身体的不定愁訴をどう理解するか|生物心理社会の視点からみた心と身体のつながり」(2025)
コトバンク/Wikipedia「不定愁訴」
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